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相続した空き地・空き家を有効活用しよう!税負担を減らすための最適な選択肢とは?
空き家を相続したとき、相続税の負担や、空き家特例の適用条件について理解していないと、思わぬ出費や手続きの複雑さに悩まされることも少なくありません。
本記事では、相続した空き家が3,000万円控除の特例を受けられるための条件について解説します。相続した空き家をどのように扱うべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
1.人が住んでいない空き家の相続にも相続税がかかる
人が住んでいない空き家であっても、土地と建物は貴重な財産であり、相続税の課税対象となります。つまり、空き家を相続することになれば、その評価額に基づいて相続税を支払わなければならないのです。この点を見落とすと、思わぬ税負担がのしかかる可能性があります。
亡くなった方が生前に住んでいた自宅を相続する場合、亡くなった人が所有していた土地の評価額を減額できる「小規模宅地等の特例」が適用される場合があります。特例を利用すれば、自宅の土地のうち330㎡までの部分について、その相続税評価額(決められた評価方法により計算された価額)を80%減らせるため、相続税の大幅な節税が期待できるでしょう。しかし、空き家には小規模宅地等の特例が適用されません。そのため、相続税は亡くなった人が住んでいた家を相続した場合に比べて、割高になってしまうのです。
たとえば、相続税評価額が1,000万円の場合、小規模宅地等の特例が適用されれば200万円の評価となります。
計算式:
1,000万円-(1,000万円×80%)=200万円
相続税の税率を仮に30%とすると、60万円(200万円×30%の税率)の相続税が発生しますが、小規模宅地等の特例を受けられないと300万円(1,000万円×30%の税率)の相続税が発生してしまうのです。
計算式:
200万円×30%=60万円
1,000万円×30%=300万円
ただし、例外も存在します。亡くなった方が生前に老人ホームに入居していたために空き家になった場合、特例が適用される可能性があるため、状況によっては相続税の負担を軽減できるチャンスも残されています。
2.相続した空き家は「空き家特例」で最大3,000万円が控除される
相続または遺贈によって取得した、亡くなった方が居住していた家屋やその土地は、特定の条件を満たすことで「空き家特例」の恩恵を受けられます。特例を利用すると、譲渡所得から最高3,000万円を控除できるため、大きな相続税対策となるでしょう。正式には「被相続人の居住用財産(空き家)にかかる譲渡所得の特別控除の特例」と呼ばれています。
特例を適用するためには、まず相続した空き家を一定期間内に売却する必要があります。条件が整うと、譲渡所得を計算する際に最大3,000万円を控除できるため、実質的に税負担を大幅に軽減することが可能です。
たとえば、父が亡くなり息子が実家の土地と家屋をセットで引き継いだ場合、不動産を売却する際に空き家特例を適用できます。しかし、父が亡くなったときに母が家屋を、息子が土地を引き継ぎ、母が亡くなってから息子が家屋を引き継いだ場合、土地と家屋をセットで引き継いでいないため、特例の利用ができません。このように細かな条件が設定されているため、利用を検討するなら事前に条件を確認することが大切です。
空き家特例を利用することで、売却益に対する税負担が軽減され、資産を有効に活用する一助となるでしょう。相続した空き家の税負担を軽減したい方は、ぜひ特例の利用を検討し、不動産管理や売買の専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
空家を放置したときの具体的なリスクについて知りたい方は以下のコラムもご参考ください。
https://shrine-re.co.jp/wp/2024/11/01/空き地空き家を有効活用して現金化/
3.「空き家特例」が適用される条件
相続した空き家に対する「空き家特例」は、相続税の軽減を図るための制度です。特例を適用するためには、対象となる空き家が要件を満たしている必要があります。具体的には、亡くなった方が居住していた家屋が、相続の開始直前において使用されていたものであり、相続した空き家が以下の3つの要件をすべてクリアしなければなりません。
1.昭和56年5月31日以前に建築されている
耐震基準が現代とは異なるため、古い住宅が特別な配慮を必要とすることを考慮しています。
2.区分所有建物登記がされている建物ではない
区分所有建物登記がされている建物とは、一戸建て住宅を指します。マンションのように複数の所有者が共同で建物を所有するような形態の住宅は、適用されません。
3.相続が開始する直前に亡くなった人以外は住んでいない
空き家特例は、実際に亡くなった方が居住していたことが条件です。もしほかの住人がいた場合、特例は適用されません。
これらの条件を満たす、相続した空き家に対し、空き家特例を適用するためにはさらに具体的な要件もあります。
・相続または遺贈により譲渡人が空き家を受け取っている
・空き家の売却時に相続のときから譲渡のときまで事業や貸し付けに使っていない
・譲渡時に空き家が一定の耐震基準を満たしている
・相続開始から3年経過後の12月31日までに売却する
・売却代金が1億円を下回っている
・特別控除やほかの特例を適用されていないこと(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除)
・亡くなった人の別の相続や遺贈により取得した空き家で特例を受けていないこと
・空き家の売却先が親子や夫婦などの関係者ではないこと
売却期限に関する要件もあるため、早めに行動を起こすことが望ましいでしょう。
4.相続した空き家を売却するなら不動産管理・売買の専門業者に相談しよう
相続した空き家には、相続税が課税されることがあります。人が住んでいない空き家は、小規模宅地等の特例が適用されず相続税評価額の80%減額がないため、仮に相続税評価額が1億円で税率が30%の場合、2,400万円の減額が受けられず、相続税が割高になる可能性があるでしょう。しかし、一定の条件を満たせば空き家特例により、最大3,000万円の控除を受けられます。空き家の相続税対策や特例の条件について詳しく解説しましたが、どの方法が最も適切かは、一人ひとりの状況に応じて異なるでしょう。
そのため、空き家を相続した方や、自身の死亡により空き家の相続が発生することが予想される方は、専門的な知識を持つ不動産管理・売買の業者に相談することをおすすめします。相続税対策は複雑で、間違った判断が経済的な損失を招くこともあるため、専門家の意見を仰ぐことが大切です。
シュラインは、不動産管理や売買を中心に、多岐にわたる不動産関連サービスをワンストップで提供しています。地域に根ざしたサービスを大切にしながら、お客様のニーズに応じた柔軟な対応を心がけています。空き家や空き地の管理にお困りの方や、土地活用、住宅の売却方法について悩んでいる方は、ぜひお気軽にシュラインにご相談ください。あなたの大切な資産を有効活用できるよう全力でサポートいたします。