コラム
「相模原市の土地活用を考える〜地域特性と開発動向について〜」
はじめに

神奈川県内で東京都に隣接しながらも、豊かな自然と計画的な都市インフラを併せ持つ相模原市は、土地活用の多様な可能性を秘めたエリアです。
特に近年では、相続による土地の所有者変更や、空き地・空き家問題の増加により、「使い方が分からない」「将来的な価値が不安」といった相談が増加しています。
本コラムでは、相模原市の基本的な地域特性と、現在公開されている都市計画・開発動向を整理し、今後の土地活用を考える上で押さえておきたい視点をわかりやすく解説します。
地域特性と人口動向

◎ 都市と自然が共存するまち
相模原市は、面積の広さを生かして都市機能と自然環境の両立を実現している自治体です。市域全体の約68.6%が山林などの自然的土地利用で構成されており、都市的土地利用は31.4%にとどまっています(相模原市都市計画基礎調査より)。これは、神奈川県内でも特に「開発余地」が大きいことを示しています。
◎ 人口減少と将来の都市構造
相模原市の人口は、令和元年の約72.3万人をピークに、今後は緩やかに減少傾向が続くと予測されています。令和17年(2045年)には、約67.8万人まで減少する見込みです。少子高齢化が進む中で、人口の集中と空洞化が地域ごとに進行し、土地の使われ方にも偏りが見られるようになっています。
市中心部や駅周辺にはニーズが集まる一方、郊外や農村部では空き地・遊休地が増加しており、対応の違いが求められています。
土地利用と都市計画の方向性
◎ 立地適正化計画と将来像
相模原市では「相模原市都市計画マスタープラン」および「立地適正化計画」に基づき、地域の特色に応じた土地利用方針が策定されています。その柱となっているのが、集約連携型都市構造という考え方です。
これは、都市機能(住宅、商業、福祉、交通など)を集中的に配置することで、持続可能なまちづくりを目指すというもの。人口密度が高いエリアに住宅・公共機能を集約し、公共交通やサービスの維持がしやすい体制を整えることが狙いです。
◎ 市街化区域と調整区域の整理
相模原市は、旧市街地・橋本・相模大野・中央区などを中心に「市街化区域」、それ以外の広大な農地や山林を含む地域を「市街化調整区域」に区分しています。今後は、空き地が多い調整区域に対する土地活用方針や再編整備も進められていく見込みです。
すでにインフラが整った地域と、今後整備が期待される地域とでは、土地活用の制度や許認可のハードルも異なります。計画区域や用途地域の確認は必須です。
注目の開発動向と地域プロジェクト

◎ 相模原駅北口の再開発
相模原駅周辺は、長年にわたり課題となっていた再開発計画が進行中です。北口地区では、駅前の広大な更地を活用した都市再生プロジェクトが進められており、商業施設や集合住宅の整備・道路の拡幅などが段階的に実施される予定です。これにより、相模原市の新たな中核市街地としての魅力が高まることが期待されています。
◎ 旧相模総合補給廠の一部返還地の活用
相模原市の大規模な未利用地として注目されるのが、米軍基地の一部返還地(旧相模総合補給廠跡地)です。
国有地として段階的に利活用が検討されており、交通結節点や災害時の広域避難拠点など、多機能型の土地活用が想定されています。今後のまちづくりに大きな影響を与えるポテンシャルを持つエリアです。
地元経済・人口の回復を見据えた「駅前の再生」や「返還地の新用途開発」は、土地所有者・事業者の注目ポイントです。
開発手続きと制度の基本知識
土地を有効活用するためには、制度面の理解が欠かせません。特に以下の点に注意が必要です。
◎ 開発許可制度(都市計画法第29条)
市街化区域内で500㎡以上の土地を開発する場合や、市街化調整区域でのあらゆる開発行為には、相模原市の開発許可が必要となります。農地や山林の場合には、農地転用・森林法など他法令との調整も求められます。
◎ 相模原市開発事業基準条例
開発に際しては、道路の幅員、公共施設の整備基準、緑地率などを定めた市独自の条例も存在します。これらに適合していないと、開発の許可が下りない場合もあります。
制度の確認不足が原因で、計画が大幅に遅れるケースも。初期段階からの専門家相談が鍵となります。
まとめ
相模原市は、首都圏に位置しながら自然・都市・交通のバランスが取れた希少な地域です。
今後の人口動向・都市整備・再開発プロジェクトを見据えると、土地活用には中長期的な視点が求められます。特に駅周辺や返還地を含むエリアでは、商業・住宅・公共施設のニーズが高まることが予想され、事前の準備が資産価値の分かれ道になります。
土地を「持っているだけ」で終わらせるのではなく、「どう活かせるか」を考える第一歩として、都市計画・用途地域・法的制限の整理から始めてみましょう。
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